男性にも起こる、産後うつ

パタニティーブルーズって言葉知ってますか?

ざっくり言えばマタニティーブルーの男性版です。

父親になるプレッシャーや、子供が生まれてからの生活変化による身体的疲労、精神的重圧から心身様々な症状を生じる状態です。

パタニティーブルーズ = 産後うつ  では必ずしもありません。

しかし、同じ意味でつかわれている事が多いと思います。ここではパタニティーブルーズと産後うつを明確に分けて説明していきます。

皆さんが他サイトや文献に目を通す場合、パタニティーブルーズを産後うつとして使用しているのか、それとも別に扱っているのか、注意してみるようにしてください。

 

パタニティーブルーズが最近とても増えています。

イクメン精神科医である私ダディーが、パタニティーブルーズについて解説します。

パタニティーブルーズってなんだろう?

 

パタニティーブルーズの由来とは

パタニティーブルーズという言葉は、

1987年にPruettらが、「子供が生まれて最初の3ヵ月くらいの間に父親に生じる心身の症状

であり、期待される父親役割に対する不適合感やそれからのフラストレーションまで、い

ろいろなものを含む情緒状態」として用いた言葉です(*1)。

つまり定義は非常に広範囲な状態を示していることがわかります。必ずしも産後うつを指すわけではありません。

 

父親は母親の育児に対する不安や疲れを軽減するサポート役として、

これまでにない以上に期待されるようになってきています。

そうした中、パタニティーブルーズとして診断を受ける男性が近年増加傾向にあります。

 

パタニティーブルーズにはどんな症状がある?

具体的には

イライラ

不眠

頭痛

集中困難

抑うつ、気分の落ち込み

など、あらゆる心身の症状を呈します。

 

パタニティーブルーズになりやすい状況とは?

  • 妻の心身の状態が芳しくなく相対的に父親に負担がかかる場合
  • 子供の人数が増えた場合(独りから二人以上)
  • 昇進、ローンなどの金銭的不安、親の介護など問題が重なった時
  • 結婚の高齢化に伴い、男性更年期障害と父親になる時期が重なった場合
  • 夫婦間のコミュニケーションが減っていく場合

 

性格傾向として、真面目で一生懸命な方がパタニティーブルーズになりやすいと言われています。

 

 

どうやってパタニティーブルーズを改善していく?

どうしても子供が出来ると子供中心になってしまいます。

私の所もそうでした。

振り返ってみると私もパタニティーブルーズであったと思います。

しかし、それ以上にマタニティーブルーズが酷かった!

(ですので私は自身の不調はぐっとこらえておりましたが、そしたら胃潰瘍になりました、、、、)

男性はお腹を痛めて子供を産むこともなければ、産後に母乳を与えることもありません。

おむつの交換や、ミルクを与えるくらいはできますが、どうしても産前産後の母の役割に比べると「やりたくても出来ない事、代わりたくても代われない事」が多いです。

しかし、それは男性が育児に参加していないという事ではなく、役割分担をしているという視点も大事なのではないでしょうか?

そうした理解が妻から得られると、男性も相当救われるところがあると思います。

「ありがとう」と一言いわれるだけで、どれだけの人が救われるか考えてみましょう。

しかし、

それは同時に男性自身が、女性の、母親の大変さに対して理解と共感を示し、

夫婦お互いに支えあっていく、という事を理解しあって尊重しあう必要がある事が大前提です。

「俺だって(仕事が、育児が)大変なんだ!」

と言うだけでは何も解決しません。

私見ですが、子育ては医者の業務よりはるかにしんどいです😅。

ですので、育休をとらずに(とれずに、が正しい表現ですが、、)

妻に任せてしまっていることは非常に申し訳なく思っています。

ですのでその分出来ることはやりますし、妻の大変さを理解して支えていくことを

とても重要な事だと思っています。

それが巡り巡って自身のパタニティーブルーズにとって一番の薬となるでしょう。

実際自宅の雰囲気悪いと、家に帰るのも嫌になりますよね。

いい空気づくりがお互いにとってとても大切だと思います。

以上がパタニティーブルーズ総論と各論になります。

これからは男性の産後うつに関して詳しく書いていくことにします。

 

男性の産後うつって珍しいの?

育児および夫婦の問題は文化的背景に非常に影響を受けるものなので、海外の例が必ずしも日本にあてはまるわけではありませんが、

アメリカでは、

2010年に発表された43の研究、合計28000人の父親を対象としたメタアナリシスによると、妊娠第一期から子供の一歳の誕生日までの間に14%が産後うつとの診断を受けた、という報告があります。(*2)

他先進諸国の報告では概ね5~10%ほどと言われています(*3)。

このように数字の間に相当ばらつきがあります。

まず、産後うつの原因から見ていきましょう。

 

産後うつの原因って?

原因は大きく二つあると言われています。

①夫婦関係が産前産後でうまくいっていない場合

説明するまでもなく、出産前後の夫婦関係がうまくいっていないとお互いの心身に悪影響が出てくることは容易に想像できますね。

②配偶者(妻)が産後うつにかかっている場合

配偶者がうつの場合に必ずしも全員がうつになってしまう、という事ではありません。

しかし、配偶者の心身の不調により相対的に相手への負担が慢性的に続くという状況は非常にうつを誘発しやすい状態である事は指摘しておかないといけません。

そのほかにも

  • 父親の年齢が若い方が周産期に不安、抑うつを呈しやすい
  • 新米パパで低収入が重なるとうつになり易い

などと指摘されてもいます。

ほか一般的な

  • 家族歴
  • うつの既往

 

といった点も当然影響してきます。

では、産後うつにはどのような症状があるのでしょうか?

 

産後うつの症状って?

基本的には女性の産後うつの症状と概ね変わりません。産後一年以内に起きることが多く、徐々に悪くなる場合もあれば、急速に悪化する経過をたどる場合もある

  • 抑うつ、気分の落ち込み
  • 倦怠感
  • 満たされない気持ち、低い自己評価、くよくよとしてしまう
  • 些細な事に非常にイライラして、自己嫌悪の気持ちが強くなる
  • 涙がでる
  • 不眠
  • 食欲減退
  • 性欲減退
  • 意欲低下
  • 赤ちゃんへの興味がなくなる、無関心、どうでもよいと思ってしまう
  • この子さえいなければ、と思ってしまう
  • 普段は気にならない些細な事に対して不安を感じる
  • 頭痛などの身体症状
  • 自分自身や赤ちゃんを傷つけるようなイメージをもつ
  • 死にたいと思う

など、症状はパタニティーブルーズとかぶるものもあれば、

産後うつに特徴的な自分を傷つけたり、赤ちゃんを傷つけたり、存在を否定するような考えなどが出てきたりします。

残念ながら産後うつが原因で子供を親が殺してしまう事は時に起きます。

これは日本では女性に多いです。

その理由は女性が産休、育休をとり子供のそばにいることが圧倒的に多いので、接する時間が長い事が影響しています。

 

産後うつは家族間にどのような影響を及ぼす?

産後うつに限らず、家族がうつ病になると、当事者をとりまく家族はその影響をとても受けます。

特に父親、母親どちらかが産後うつ含めうつ病にかかると、配偶者が同様にうつになり易くなる点は先ほど指摘した通りです。

女性と同様、男性も家族からの支えがあると気持ちも満たされます。

母親も父親も共に自分が大変ですが、子育てを一緒に行う場合はお互いの事を認め合って、励ましあい、感謝しあう事が必要になります。

「ありがとう」の一声を忘れないようにしたいですね!

 

自分は産後うつかもしれない、と思う父親はどうしたらよい?

 

家族にうち明けましょう

自分の心の不調を打ち明けることは、男性は女性よりも下手かもしれません。

しかし、適切なサポートを受けることはとても重要なことです。

自分の不調を隠したままぎりぎりまで頑張ってしまうと、突然急速に具合が悪くなってしまう可能性もあります。

その結果としてひいては配偶者、として子供達も不安定になっていく。

こうした事態は避けないといけません。

心身の不調が長期にわたって継続する場合、改善しない場合、自分一人で抱え込まないようにしましょう。

大変さの尺度は極めて主観的なものです。相手が「辛い」と打ち明けてきた際には

「私の方が~~😖」という思いを相手にぶつけることは控えましょう。

自分の尺度が相手にそのまま当てはまるとは限りません。

 

症状が継続する場合は病院受診をしましょう

精神科と聞くとハードルが高いと感じる方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、そのイメージは過去のものです。

同じようは訴えで病院、クリニックを受診している方はたくさんいらっしゃいます。

安心してください!

「妻はもっと頑張っているのに、自分だけこんなになってしまって、申し訳ない」と思って受診を躊躇しておられるのであれば、

この「周囲に申し訳ない」という発想は立派なうつの症状です。

是非専門家に相談することをオススメします!

 

「自分は大丈夫」と安易な自己判断は控えましょう。放置した結果、家族皆が倒れてしまう事態になりかねません。

大事な点なので、何度も記載しますが、

パタニティーブルーズにしても、産後うつにしても配偶者が同様に不調を呈していると、自分が罹患する(病気になる)可能性は高まります。

自分のやせ我慢が周囲にも影響を及ぼしていく点を理解しておきましょう。

 

子供に全く興味がわかなくても、簡単な事でもかかわるようにしましょう

配偶者、そして子供にとってあなたはとても大切な人です。それは産後うつになったからといって変わりません。お風呂に入れてあげる、おむつを替えてあげる、などといった簡単な事を継続していく中で再び徐々に子供への関心を取り戻していけるでしょう。

 

定期的に体を動かすようにしましょう。

 

我々はヨガを推奨しています。うつ病とヨガに関してはまた別で後日書きます。

運動に関して、何か特定のものが他よりも優れている、という事はありません。

しかし、気持ちが落ち込んでいる際に継続的に行える数少ない運動として私たち夫婦はヨガを推奨しています。

まとめ

  • パタニティーブルーズとは周産期のストレスから心身様々な症状を呈する状態
  • パタニティーブルーズが発展して産後うつになることがある。
  • パタニティーブルーズ、産後うつの放置は、配偶者のうつ病発症の危険性を増大させる
  • 男性も女性と同様に配偶者から認めてもらう事が心の平安のためには大切。お互いを思いやり、感謝の言葉を忘れないようにしましょう
  • 無理は禁物です。困った際、どうしたらよいのかもわからなくなったときはお気軽に病院受診をしましょう。
  • 申し訳ないという気持ちが強くなっていくことはうつの症状です。
  • 子供の入浴や、着替え、おむつ交換など些細なふれあいの継続の積み重ねが、子供への愛着を呼び戻します。
  • うつうつとした気持ちを改善していくために、運動は有効です。中でもヨガを私たちはお勧めします。

 

参考文献

1)The Nurturing Father, Pruett KD, Warner, New York, 1987.

2)Paulson JF, Bazemore SD. Prenatal and Postpartum Depression in Fathers and Its Association With Maternal DepressionA Meta-analysisJAMA. 2010;303(19):1961–1969. doi:10.1001/jama.2010.605

3)deMontigny F, Girard ME, Lacharite C, et al. Psychosocial factors associated with paternal postnatal depression. Journal of Affective Disorders.2013,150(1),44-49.

 

 

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