目次
アルツハイマー型認知症に関して詳しく勉強していきましょう
イクメン精神科医のダディーです。
アルツハイマー型認知症に関して、詳しく勉強していきましょう。
他認知症（レビー、脳血管性、前頭側頭型）に関してざっと知りたい方は
認知症診断その４をご参照ください。
アルツハイマー型認知症ってどんな病気？
認知機能障害全体の6割ほどを占める疾患です。
男性よりも女性に多く、比較的高齢者に物忘れを主な症状として発症する認知機能障害です。
アミロイドβとタウというタンパク質が脳細胞内に長い時間をかけて蓄積し、その結果として海馬を中心とした脳細胞が壊死することで
物忘れなどの症状を呈します。
こうしたタンパク質の蓄積は具体的に症状を呈する前から起こっており、早期診断が治療的観点から重要になってきます。
アルツハイマー型認知症ってどんな症状があるの？
大きくまとめると
記憶障害
見当識障害
段取りができない、などの判断力の低下
ＢＰＳＤ
となります。
それぞれに関して説明していきましょう
記憶障害
主にここ最近の事から忘れていきます。
約束をしたことを覚えていない。忘れたことを指摘されても思い出すことも出来ない。という状態になります。
例えば、約束の時間になっても来ない、と友人から電話が自分に来ても、
約束したこと自体を覚えておらず、カレンダーには確かにその約束に関して書いてあるが全く思い出せない、とった感じです。
加齢による物忘れは、「そういえばそうだった、、、」と想起することが可能です。 この点が異なります。
見当識障害
見当識とは簡単に言えば、今何時、ここはどこ、私はだれ、という事に対する認識能力です。
ですので、見当識が障害されると、
今日の日付がわからない。
時計が読めない
道に迷う
自宅内でトイレがわからない
といった状態が出現します。
判断力の低下
段取りをして行動することがむつかしくなってしまった状態です。
これまで料理好きであった女性が、徐々に「面倒だから」と料理をしなくなった場合は
しない、のではなく、出来ない、可能性があります。
料理の手順に始まり、味付けに必要な調味料の選択などが困難になります。
「最近お母さん（妻）の料理の味が変わってきた」と自分の父親から言われた際には、
認知症かもしれない！と考えることは大切なことだと思います。
ＢＰＳＤ
ＢＰＳＤとは
Behavioral and Psychological Symptom of Dementia の略です。
具体的には、上記の主だった症状に付随して生じる妄想、具体的には記憶障害に不随して生じる「物盗られ妄想」や、見当識障害から生じる徘徊。
また、お風呂に入らない、歯を磨かない、磨かせてくれない、着替えをしない、させない、介助しようとすると抵抗し時には手が出る、などの暴力行為も含めた介護拒否
などが見られます。
アルツハイマー型認知症の予防や対策ってどんなことがある？
残念ながら現時点で完治を期待することはできません。
病気を「治す」といった視点の内服は存在しません。アミロイドを標的とした治療薬（ワクチン）も開発され、ラット（ネズミ）レベルではある程度の効果が診られたものもありますが、人を対象とした臨床試験では、有害な副作用のため芳しい結果は出ていません。
よって、現状では早期発見し速やかに病気の進行を遅らせる内服をすること、そして病気の進行にとってマイナスになる要因を改善していくことが求められます。
生活習慣の改善はアルツハイマー型認知症予防効果がある程度認められる
具体的には、不摂生（飲酒、喫煙）をやめ、適度な運動の習慣を持つこと。
また、糖尿病は将来的なアルツハイマー型認知症の罹患率を上げるため、高血糖の改善も効果があると言われています。
特定の市販サプリメントが認知症に対して効果があるというはっきりしたエビデンスは現状ありません。
十分な睡眠は認知症の予防効果がある
長期にわたる慢性的な睡眠不足は認知症の危険因子と言われています。
それは、人間が寝ている間に脳内でアミロイドなどの蛋白の蓄積が洗い流される（ウォッシュアウト）ため、睡眠不足は蛋白の蓄積に貢献してしまう、と言われているからです。
社会的な孤立を避ける
孤独は喫煙以上に心臓病発症に危険である、という有名な疫学データがありますが、海外の研究で社会的孤立が認知症の発症リスクである、というものもあります。
人間は社会的な生き物ですので、かかわりの大切さがわかります。
一度にたくさんの知識を吸収するのはむつかしいですね。
アルツハイマー型認知症の患者さんに対して具体的にどのように接するべきなのかは改めて記載していきます！
