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今日は素敵な本の紹介をしたいと思います。
題名は「Yoga for dementia」(認知症のためのヨガ)という邦題になると思います。
人口の高齢化に伴い、全世界で認知機能障害を抱える人が爆発的に増えています。
現状、「治癒」という意味での治療ができない中、いかに生活の質「quality of life」を上げていくかがとても大切な視点になります。
認知機能障害は、当人だけでなくその当人を支える家族にとっても非常に心身ともに負担となることは紛れもない真実です。そういった意味で、介助者のケアという視点が欠かせません。
この本は著者のTania自身が家族の介護経験があり、そして豊富なヨガの指導歴をバックグラウンドとして、イギリスの老人ホームにおいてヨガをアクティビティーとして行った際に入所者に起きたプラスの変化をベースに本にまとめたものです。
詳しくはHPを参照して頂ければ、どのような臨床介入研究を行ったのかPDFのダウンロードが可能です。
こうしたevidence basedな視点はヨガを昨今西洋医学的視点から研究する流れの中では当然のことだと思います。
本の中ではTaniaが何故yoga for dementiaを行うにいたったのか、彼女のライフストーリーに始まり、
・一般的なヨガの解説(簡単なヨガ哲学の説明)
・簡単な認知機能症害の説明(イギリスにおける疫学や簡単な病気の分類など)
・ヨガ的ライフスタイル(yogic life style)を送ることの大切さ、食事など気を付ける点
こういった上記内容が記載されています。
よって、ヨガや認知機能障害の予備知識が無くても、比較的順番に読み進めていけば自然に知識はついていくと思います。
(認知症の分類に関しては、日本とは比率が異なり、アルツハイマー型認知症の比率が高すぎる印象があります。)
更に進むと、
認知症当事者が病状に応じて比較的無理なく行うことが可能なフローが時には動画などのURLも内部に紹介される形で提供されています。
更に特筆すべきは先に記載した、介助者(carer)のストレスを軽減するという視点を非常に重視しており、その点文献を適宜提示しながら、現状有効と思われる情報の提供を行っています。
病状の進行に伴い、介助者と当事者が一緒にやれることは限られてくることは現実的に避けられませんが、お互いを労わりながらともに時間を過ごすという目的にヨガはとても合っている、という事だと思います。
高齢化は日本の方が進んでおり、こういった介入を日本でこそ行うことに意味がある、そう感じさせてくれる一冊でした。
より多くの方に届くように日本語訳が出ることが望ましいでしょう。
著者のTaniaと直接連絡を取るようになりましたが、非常に聡明で情熱溢れる人物であるという印象を持っています。
Strongly recommended.
This is truly a beautifully written book of yoga for dementia.
I am a board-certified anesthesiologist in Japan. My husband, who is a board-certified geriatric psychiatrist, and I provide yoga for people with dementia mainly in nursing homes as an activity.
Japan is one of the fastest aging societies in this world. It is said that one in three people in Japan will be more than sixty-five years old from 2025.
Although families traditionally have been and still are the major provider of aid and support for their members in times of need, providing care for a family member with dementia is a progressively overwhelming experience for the caregiver.
Dementia care-giving has been associated with increased levels of depression, anxiety, and anger; higher use of psychoactive medications; worse physical health and immune function; and increased mortality rate (Schulz, O’Brien, Bookwala, & Fleissner, 1995; Schulz, Visintainer, & Williamson, 1990).
So, the viewpoint of caring for the caregiver is as important as caring for the people with dementia.
Tania Plahay’s work is some of the most important knowledge in our aging world today for helping people understand more deeply the significance of the mind-body connection.
Her insights are inspirational for not only yoga teachers but also for all readers including patients themselves and their caregivers.
Based on her life experience as a caregiver for her family and as a skilled practitioner and instructor of yoga, she provides evidence-based and practical knowledge about how to manage difficult situations caused by dementia.
This book is a must-read to reduce stress in this aging society.
Yoko Nakano, MD, RYT
Teruki Nakano, MD