認知症診断その1

今日はもの忘れについて考えてみましょう

イクメン精神科医のダディーです。

このブログを読んでいる皆さんはもしかしたら親の介護をしている方かもしれません。

また、もしかすると自分の配偶者や他親族の介護をしている人かもしれません。

はたまた、時分はもの忘れがあるのではないか、と心配されている方かもしれません。

加齢とそれに伴う老化現象は誰しもが経験することで避けられません。

まして、現在の日本は海外からdemographic time bombと形容されるように、

異常なスピードの高齢化及び、合計特殊出生率の継続的な低下が進んでいます。

計算では日本人は西暦3000年~3500年の間に消滅する、とまで言われています。

周りを見渡すと、人がいないか、いても高齢者ばかり、というのが今の、そして今後の日本の姿なのでしょうか。

もの忘れ = 認知症??

ここ最近忘れることが多くって、、と仰る方はではどうしたらよいのでしょうか?

病院に行った方が良いのでしょうか?

実際に「心配なので病院に来ました!」という方、非常に多いです。

でも実はそういった人達を僕らは比較的安心してみています。

それは認知症ではない事が多いからです。

勿論中には数年のうちに認知症に進んでいかれる方が残念ながらいらっしゃるのですが、多くはありません。

ですので、希望があれば徹底的に精査をして可能な限り早期診断を行います。

しかし、多くの場合は経過観察しましょう、という事になります。

むしろ心配なのは

自分はどこも悪いところはない、周りが自分を病人にしようとしてる。

このように仰り、家族がやっとの思いで病院を受診させた、というパターンです。

このパターンは認知症であることが多いです。

勿論先入観を持つ事は良くないので、そういった印象に流されずに診療を行っていくことは大切なことです。

今日は物忘れが心配だ、と自ら病院にいらした方をどのように診察していくのかを示したいと思います。

 

まず何をするのか?

とにもかくにも、まずは病歴の聴取です。

お独りで受診された場合はご本人から。ご家族とご一緒の場合はご家族からの意見も踏まえ、

気になることが、いつ、どんな時に起きて、それが継続しているのかどうか、などを聞いていきます。またこれまでどんなご病気をされたか、現在の内服薬、飲酒喫煙などの嗜好、毎日どのように過ごされておられるか、などを聞いていきます。

記憶に関してはまた別の機械に詳しく書いていきますが、よく皆さんが言われる、「人の名前が思い出せない」、「食事の内容をすぐに忘れてしまう、食べたことは覚えているけど」といった内容と病的な「もの忘れ」は忘れてしまう事は同じであってもその意味合いは異なります。

このようにして病歴を聴取します。

次に簡易検査を行います。簡易検査は大きく二つ

長谷川式簡易簡易知能評価スケール、とMMSEです。

細かい違いはありますが、同じものと思っていただいて構いません。

精神科医は長谷川式を好み、神経内科医や脳外科医はMMSEを好む傾向があるように思います。

上記二つともに、皆さんに質問しそれに答えてもらう形で展開されます。

その質問に答えられないと減点され、ある点数(カットオフ値)よりも自分の点数が低いと、認知症の可能性が高い、という判断になります。

しかし、この検査だけでも認知症の診断にはなりません。

やはり一番重要なのは病歴になります。

例えば、うつ病になってしまった高齢者は上記検査が共に低い点数が出てしまいます。

しかし、診断は認知症ではなく、うつ病ですから、その治療をすれば体調はもとに戻ります。

それを見逃して「認知症」と決め込んでしまうと、大切な治療のチャンスを逃すことになります。

ですので、

簡易検査の結果のみで認知症の診断に飛びついてはいけません!

さて、これまで病歴、簡易検査、と話をしてきました。

長くなるので、画像に関しては次回に書こうと思います

そして最後にまとめを入れましょう。

 

 

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