ヨガインストラクターが知っておくべき薬の種類

今日はヨガインストラクターが知っておくべき内服薬について基本的なところを紹介しておきましょう。

過去のyoga for シリーズがあまりにも専門的過ぎたので相当つまらなかったでしょうから(大切なことなのですが、、😭)

😀少し簡単に読める内容のものにしてみようと思います😀

皆さんが今後生徒にヨガレッスンをしたり、誰かにヨガの指導を行う際に彼ら(彼女ら)が何か薬を飲んでいた場合、どんなことに気を付けるべきなのか、ということを簡単に書いていきます。

それから、「私この薬飲んでます」という方は以下に書いてある内容についてヨガを行う際に気をつけながらやるようにしてみてください。

それでは始めてみましょう🕺!

これだけは最低限気にしてみよう。レッスンを受ける生徒は薬を飲んでます。

ここ最近の健康ブームの中で、ヨガのダイエット効果ヨガの健康増進効果などが謳われています。そのため、ヨガ人口はどんどん増えていっています。

超高齢化社会の日本を考えると、中高年のヨガ人口の方が多いのかもしれません。(ヨガにダイエット効果が本当にあるのかどうかは、今後新たにyoga for weight lossで詳しく書いていきますから、楽しみにしていて下さい。)

手元に参考になる統計データがないので、細かいことは言えませんがヨガを行うミドル、シニア世代はとても増えている、と日々感じています。

そういった中で、

持病があり特定の内服を行っている人がヨガを行う際にどういったことを気を付けるべきなのかという点に関して

ヨガを指導する人はちゃんと理解していないといけません。

同時に自ら内服をしている方(生徒)は、ヨガを行う際にどんな事に気を付けるべきなのか、という点を安全なヨガのために自分自身で理解しておく必要があります。

残念ながら、西洋医学と東洋医学を相容れないものと考え、

どちらかを受け入れないという状態は依然として存在します。

例えば、病院で働く医療者は漢方に関しては徐々に理解が深まってきていますが、ヨガやアーユルヴェーダ、そしてマクロビオティックに代表される食事療法、などに関して全く興味がないもしくは価値を認めない人が多いです。

また、代替医療界隈では必要以上に西洋医学を敵対視して「薬なんて飲んでいても治らないからすぐに飲むのを全部やめなさい」という過激な指導がなされている場合もあります。

その結果として突然の断薬(内服を中止すること)によって著しい離脱反応を起こし救急搬送されてしまう方も残念ながら存在します😔

西洋医学の立場から見ると、「これだから知識のない人たちは無茶なアドバイスをする!」と考えますし

薬物療法を極端に嫌う人たちからすれば「それだけ身体に負担になるものを内服させていた方が悪い!」という発想になるので

断絶は深いですが、

私たちのような双方のいいところを活かしていこう、という俯瞰的な見方が出来る人が昨今徐々に増えてきているので、未来は明るいものになると思っています。

是非皆さんはこのサイトを通じて

しっかりとした知識を身に着けて、安全なヨガを自分自身が行うと共に、皆に安全なヨガを提供して頂ければと思います。

皆さんがヨガの指導をしていて、生徒が眩暈を訴えたり、気を失ったりされた経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか?

もしくは家でヨガをしている方で

例えば太陽礼拝を行うと、

起き上がった際にくらくらした、という経験をお持ちの方も多いと思います。

ちょっとぶつけたところが大きな痣になってしまった、なんてことも考えられます。

そういった点に関して、あらかじめ気を付けるように指導出来ることが、ワンランク上の指導者ですね。

では、具体的な内服の種類とその注意点について簡単に紹介していきましょう。個別の内服薬の名称までは覚える必要はないかな、と思っています。勿論熱意のある方は、ご要望あれば、更に詳しく突っ込んだものもいずれ準備します!

降圧薬内服をしている方への注意点

高血圧という診断で内服をしている方は多いです。

そういった方々がヨガを行う際には、

急な姿勢の変化、特にしゃがんだ姿勢や、寝た姿勢から急に立ち上がるような動作を行った際に、目の前が真っ暗になったり、クラクラして倒れたりする危険性があります。

ですのでそうっいった点に関して事前に注意を喚起する必要があります。

急な姿勢の変化でクラクラする、というのをもう少し専門的には起立性低血圧といいます。高血圧の治療薬で起立性低血圧を起こしやすいものがありますが、細かい内服の違いに関してまで、皆さんが絶対に覚えなければならないとは私は思いません。

それよりも

高血圧の既往があり内服をしている方がヨガを行った際に、急な姿勢の変化は気分不良やめまい、失神を起こす可能性があるという点を事前に指摘できるようになっておくこと

が大切です。

参考までに簡単な高血圧の内服の種類と起立性低血圧の症状を書いておきます。

また、当然の事ですが

高血圧は血圧が高い人たちの事を指すので、ヨガの最中に血圧が上がりすぎないように配慮することも求められます。

例えば

ヨガの呼吸法の中で

カパラバティ呼吸

バストリカ呼吸

というものがありますが

共に血圧を上昇させます。

また、頭を下に下げるような逆立ち系のアーサナ

そして腕で自分の身体を支えるようなアーサナ全般は

血圧が上昇します。

今回は内服による不具合に関しての注意事項をまとめていますので、さらっとこれくらいにしておきますが、

もちろんその内服をしないといけなくなった原因となっている疾患に関しても、ある程度理解をしておかないといけません。

高齢化社会の中でヨガをすべての世代に安全に行うために、皆さんに求められている事はこういった点に関して配慮が出来るようになっていく事です。

 

メジャーな降圧薬(高血圧の人が内服する薬)の種類

  • カルシウムチャネル拮抗薬
  • 利尿薬(幾つか種類ありますが具体的なところまで覚える必要はありません)
  • ACE阻害薬
  • ARB
  • β遮断薬
  • α遮断薬

他にもありますが、大体日常内服するのはこのどれかです。

特にホットヨガなどで発汗による循環血液量の低下が予測される場合は、適切な水分摂取を促すこと及び、ゆっくりと体位を変えていく事を必ず指導しましょう。

更に高齢者の場合、内服による影響とは別で、血圧の調整が苦手になってきているという加齢による変化から、起立性低血圧を生じやすいという傾向もわかっておきましょう。

起立性低血圧に関してもっと詳しく勉強したい方は日本語の文献がありますから、読んでみてください。

気をつけないとホットヨガには落とし穴がある、という事がこうして皆さんも理解できたと思います💦

 

起立性低血圧の症状

急に立ち上がった際に

  • めまい
  • ふらつき
  • 頭痛
  • 目の前が暗くなる(眼前暗黒感)
  • 身体のしびれ
  • 嘔気
  • 血管迷走神経反射性失神

等の症状を呈します。

全て血圧の維持が不十分なために脳に十分な血液が巡らない事が原因として生じる症状です。

アシュタンガヨガ、パワーヨガ、ヴィンヤサフローは早いペースで進行していくため、姿勢の変化に血圧がついて来られないので、起立性低血圧の症状が出やすい点は理解しておきましょう!

降圧薬の内服をしている人へのアドバイス

・血圧を下げる内服をしている方はヨガの最中に血圧が下がって気分が悪くなる可能性があります。

・特にトイレから立ち上がったり、お風呂から立ち上がる際にくらくらしたことがある人は、立ち上がる動作の際、ゆっくりと立ち上がりましょう。

・くらくらしたり、めまい、ふらつきを感じた際は遠慮なく座って水分をしっかりと摂取しましょう。

・無理をせずに出来る範囲で楽しみましょう。自分自身の心身との対話もヨガの醍醐味です。

 

(補足)血圧が高い人へのアドバイス

・心拍数が過度に上がったり、いきんだりする姿勢は血圧を上げすぎる可能性があるので、無理をしすぎないようにしましょう。

・ヨガを行う前に血圧の測定を行い、普段よりも血圧が高い場合はレッスンを控えることを検討しましょう。

・受講するヨガの内容は、ゆったりとしたものを選びましょう。テンポよく、ハードに進むものは血圧を上昇させすぎる可能性があります

・無理をせずに出来る範囲で楽しみましょう。自分自身の心身との対話もヨガの醍醐味です。

糖尿病がある方への注意点

単純に、低血糖症状に気を付けるように指導しましょう。

糖尿病の内服薬は

①血糖の上昇を緩やかにするもの

②血糖を下げるもの(インシュリンの分泌促進、インシュリン抵抗性改善)

に大きく分かれます。

最近は新しい薬が出て低血糖に伴うトラブルは昔よりも減っていますが、ヨガインストラクターとして覚えておくべきことは低血糖になったらどうなってしまうのか、という点です。

糖尿病の既往がある方で低血糖症状で失神したりするまではいかなくても、ヨガの最中に気分不良を起こす方はけっこういます。

糖尿病の治療は運動や生活習慣の改善はもちろんの事ですが、

内服治療及びインシュリンの注射が一般的な薬物治療です。

特に、糖尿病の改善のためにヨガ以外にも食事全般に気を使って、血糖値が改善傾向にある方は、内服薬の効果が次第に強まってきている可能性があります。

また、インシュリンを使用している方も同様に、健康的な生活にシフトしていく中でインシュリンの必要量が下がってくることがあります。

ですので、

ヨガをしていない時に低血糖発作に伴う気分不良の頻度が増えている場合は、①ヨガのレッスンを控えた方が良いか、②もしくは低血糖発作が万が一起こった際に適切に対応できるように準備をしておきましょう、と指導してあげる必要があります。

更に病院で内服やインシュリンの再調整が必要になるので、受診を積極的に促してください。

低血糖の症状

  •  発汗
  • 手足の震え
  • 動悸
  • 頻脈
  • 嘔気
  • 不安感
  • 脱力
  • めまい
  • 意識障害
  • 痙攣

血糖の低下に伴い、症状の重症度が増していきます。糖尿病などの生活習慣病を抱えておられる方は、体質改善のために一生懸命頑張ってしまいがちです。

ですので、指導者が適切にブレーキを踏んであげることが必要になります。

無理をしすぎないような指導を心がけましょう

糖尿病の薬物治療をしている方へのアドバイス

・血糖の測定をしっかりと行いましょう

・低血糖症状が良く出る場合、内服やインシュリンの調整を再度行うために病院受診をしましょう。

・ヨガの最中に低血糖症状が出現した場合に備えてブドウ糖などの準備をしておきましょう。

・低血糖症状が出現した際には速やかに中断して糖を補いましょう。

・無理をせずに出来る範囲で楽しみましょう。自分自身の心身との対話もヨガの醍醐味です。

 

高血糖の方へのアドバイスや、糖尿病の合併症を持つ方へのアドバイスに関しては長くなるので改めて「ヨガと糖尿病、yoga for diabetes」として準備します。お楽しみに!

精神科の内服をしている方への注意点

昨今うつ病や不安障害に対するヨガの効用が少しずつ分かってきています。そういった中でこれら既往を持つ人たちがヨガをする機会も増えています。

うつ病や不安障害に対するヨガの効用について更に興味がある人は

私の「ヨガとうつ」、そして、「ヨガと不安」を読んで是非勉強してみて下さい。

さて、

精神科の内服薬には様々なものがあります。

  • 抗うつ薬
  • 抗不安薬
  • 睡眠薬
  • 抗てんかん薬(気分安定薬)
  • 抗精神病薬

少し挙げただけでもこれくらいあります。

こういった内服をしている方は

  • 眠気
  • 倦怠感
  • 筋弛緩
  • 血圧低下
  • 起立性低血圧
  • パーキンソン症状

等を呈しやすくなります。

ですので基本的なアドバイスとしては起立性低血圧の所に書いたものと同様と考えてよいと思います。

内服に関してはそれでOKです。

しかし、それぞれの病気に特有なアドバイスがあります。

例えば

不安障害の方に先に書いたカパラバティ呼吸は、焦燥感を煽ってしまうので不向きです。

また、逆立ちなどの比較的危険なアーサナは急な不安発作の際にケガをする可能性があります。

更には、ウジャーイ呼吸のように比較的激しくなく、リラックス効果を謳っているものでも人によっては不安感が強く出てしまう可能性がある点は知っておきましょう。

こういった点は今後更にyoga for XXシリーズの実践編で詳しく書いていきます。楽しみにしていてください。

精神科の内服をしている方へのアドバイス

・病状がすぐれない時は無理をしないようにしましょう。

・ヨガをしようという気持ちになった事をほめてあげましょう。

・ただマットの上に乗ることが出来ただけでも意味があります。

・内服に伴い力が入りにくかったり、血圧が下がって目の前が真っ暗になり易かったりします。

・一般的にリラックス効果があると言われている体位や呼吸法が自分には合わない、という事は良くあります。

・無理をせずに出来る範囲で楽しみましょう。自分自身の心身との対話もヨガの醍醐味です。

他にも気になる薬として、、、、

内服に伴う不都合を挙げればきりがないのですが、中高年が比較的内服している可能性が高いものはしっかりと種類くらいは理解しておく必要があります。

頑張ってついてきてください。

抗凝固、抗血小板薬内服している方への注意点

不整脈や脳梗塞など、様々な理由から抗凝固薬、抗血小板薬を内服している方は増えています。

そういった方は出血すると血が止まりにくいです。ですので、過度に血圧が上がるようなアーサナ、バランスが不安定になって転倒しやすいアーサナなどは避けましょう。

具体的な内服薬までは覚える必要はありません。

「血がさらさらになる薬を飲んでいる方は、危ないので無理しないでください」と言ってあげて下さい。

痛み止め内服している方への注意点

膝、腰、首、肩、頭などの慢性的な痛みをかかえ、痛み止めを内服している人はたくさんいます。そういった方がヨガを行う際にも

痛み止めの種類によっては血圧の低下を考慮する必要があります。

また、痛み止めの効用で頑張りすぎてしまう可能性があります。

そういった点を考慮してアドバイスをしてあげましょう。

例を挙げればキリがないのでそろそろまとめていきましょう。ご要望あれば個別の疾患はyoga for XXシリーズで独立させてご紹介していきます!

modified poseに習熟しましょう

ヨガインストラクターの皆さんは是非スタンダードなアーサナだけではなく、リストラティブヨガで積極的に取り入れられているアーサナのmodified versionに習熟しましょう。

「腰が痛い人は無理せずにこのようにしてください」

「身体がかたい人はこのようにしてください」

「手首が痛い人はこうするほうがいいです

というように積極的にアーサナを変形したものを

教えてあげましょう。

色んなmodified asanaに関しても今後独立させて準備しますのでお楽しみに!

今回はさらっと内服に関して書く機会なのでこれくらいにしましょう。

まとめ

身体がかたくても

ふとっていても

周りの人についていけなくても

全然OK!

ヨガは自分のこころと身体に語り掛ける機会です。

ちょっと難しいかな?

これはやめておこう

少し休もうか

などと自分で判断してレッスン中に水分を補給したりマットに座ったりする行為は

積極的に推奨されるべきです。

それがヨガの原理のahimsaーnon-harmingーに繋がります。

指導者である皆さんは是非こういった点に配慮して

生徒が自由に休みやすい空気づくりをしてください。

また、積極的にpose modificationを紹介してあげましょう。

 

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